はじめての労務管理|スムーズに始めるための3つのステップ
小さな組織でも「労務管理」は必要です
「たった1人だけ採用しただけだから」「まだ小規模だし、なんとなくで大丈夫」
──そう思って労務管理を後回しにしていると、後々トラブルに発展してしまうケースも少なくありません。
労務管理とは、単に給与を払っているかどうかだけでなく、
従業員が安心して働けるよう、労働条件を整えたり、ルールを明確にしたり、
保険や法律上の手続きを適切に行うことを指します。
たとえ従業員が1人だけであっても、法律は適用されます。
この記事では、はじめて従業員を雇う方・少人数組織の経営者の方向けに、
労務管理をスムーズに始めるための基本ステップを3つにまとめてご紹介します。
ステップ①|雇用条件を明確にし、書面で交付する
まず最初のステップは、雇用契約の明確化です。
「どんな条件で働くのか」があいまいなまま働き始めると、
のちのち「こんなはずじゃなかった」「話が違う」といったトラブルにつながることがあります。
具体的には以下のような項目を明記しましょう:
- 勤務時間(始業・終業・休憩)
- 給与や残業代の計算方法
- 休日・休暇の取り扱い
- 試用期間や契約期間の有無
- 社会保険・雇用保険の加入の有無
これらを記載した労働条件通知書や雇用契約書を、必ず書面で交付することが法律で義務づけられています。
雛形で済ませず、実態に合った内容にすることが大切です。
ステップ②|保険の加入要件を確認し、手続きを行う
次に必要なのが、社会保険・労働保険の手続きです。
所定の労働時間や日数を満たしている場合、健康保険や厚生年金保険、雇用保険への加入が必要になります。
たとえば、週の所定労働時間が20時間以上あり、31日以上の雇用見込みがある場合、
雇用保険への加入義務が発生します。これを怠ると、後でさかのぼって加入・保険料支払いが求められ、
従業員との信頼関係にも悪影響を及ぼしかねません。
主な手続きには以下のようなものがあります:
- 健康保険・厚生年金保険:資格取得届の提出(5日以内)
- 雇用保険:被保険者資格取得届の提出(10日以内)
- 労災保険:新規事業所設置や業種変更時に適用手続き
社会保険の手続きは紙で行う方法と、電子申請で行う方法がありますが、
どちらも不備なく期限内に対応することが大切です。
ステップ③|社内ルールを整備し、記録を残す仕組みをつくる
最後に、従業員が増える前から「社内ルール」を整えておくことが重要です。
具体的には以下のような対応が効果的です:
- 勤怠管理方法の明確化(打刻・休憩・残業申請など)
- 有給休暇の管理ルールの作成
- 遅刻・欠勤の際の連絡ルール
- ハラスメントやトラブル発生時の相談窓口
これらのルールがあることで、従業員との信頼関係が築かれやすく、
「会社として整っている」という安心感にもつながります。
また、労働基準法では「常時10人以上の従業員がいる場合」は就業規則の届出義務が発生しますが、
10人未満でも就業規則を備えておくことで、トラブル予防や助成金申請の際に有利になることもあります。
まとめ|“最初の一人”を雇うときが最も重要です
事業のスタート時期や、初めての従業員を迎えるタイミングこそ、
労務管理の仕組みを整える絶好のタイミングです。
「まだうちには早い」と思って先延ばしにせず、
できる範囲から着実に整えていくことで、後のトラブルを防ぎ、
安心して事業を成長させる土台が築けます。
みき社会保険労務士法人では、小さなご相談からでも丁寧に対応しております。
「まずは聞いてみたい」という段階でも、どうぞお気軽にご相談ください。