遺産分割協議で弁護士に依頼すべき理由

相続が発生したあと、最も重要な手続きのひとつが「遺産分割協議」です。

これは、誰がどの財産を相続するのかを相続人全員で話し合って決める手続きです。

一見、家族内の話し合いで済みそうに思えますが、実は想像以上にトラブルが起こりやすい場面でもあります。

そこで本記事では、なぜ弁護士に依頼すべきなのかという視点から、遺産分割協議の落とし穴と、専門家のサポートの重要性を解説します。

遺産分割協議とは?

遺産分割協議とは、相続人全員で集まって、相続財産をどう分けるかを決定する話し合いのことです。

協議の内容が決まったら、「遺産分割協議書」という文書を作成し、全員が署名・押印します。

協議が成立しないと、不動産の名義変更や預貯金の解約などができません。

そのため、スムーズに終わらせることが相続全体の進行にも直結します。

弁護士に依頼すべき5つの理由

相続人だけで話し合いを進めることも可能ですが、以下のような理由から弁護士への依頼が強くおすすめされます。

1. 相続人同士の関係が悪化しやすい

相続は「お金」が絡む話であり、兄弟姉妹や親族との関係が急速に悪化することが珍しくありません。

  • 自分だけ少ない気がする
  • 昔から兄ばかり優遇されていた
  • 財産の使い込みがあるのでは

こうした疑心暗鬼が芽生えると、冷静な話し合いは困難になります。

第三者である弁護士が間に入ることで、感情的な対立を緩和できるのは大きなメリットです。

2. 法律的なルールを踏まえたアドバイスが受けられる

遺産分割には法的なルールがあります。

  • 法定相続分(それぞれが本来相続できる割合)
  • 特別受益や寄与分の考慮
  • 相続放棄があった場合の影響
  • 遺留分の侵害の可能性

これらを無視して協議を行うと、あとから無効になったり、紛争に発展したりすることもあります。

弁護士であれば、法的な根拠に基づいた現実的な落としどころを提案してくれます。

3. 財産の調査や評価が適切にできる

遺産分割をするためには、そもそも「何を分けるのか」を正確に把握する必要があります。

  • 不動産(評価額や売却の可否)
  • 預貯金や株式、保険金
  • 借金や未払い金などの負債
  • 名義預金、名義株の有無

こうした財産の調査や評価には専門知識が必要です。

弁護士に依頼すれば、税理士や不動産鑑定士などの専門家とも連携し、正確な財産目録を作成してくれます。

4. 協議書の作成と将来のトラブル予防

遺産分割協議がまとまったとしても、文書の内容が不十分だったり曖昧だったりすると、後から問題が発生する可能性があります。

弁護士が作成する「遺産分割協議書」は、法的に有効かつ明確な内容となっており、将来的な無用な争いを防ぐ効果があります。

また、不動産の名義変更や銀行への提出書類としても安心して使えるようになります。

5. 協議がこじれた場合の調停・訴訟対応がスムーズ

もし協議がまとまらない場合、家庭裁判所での調停や審判に進むことになります。

弁護士に依頼していれば、状況を把握したうえでそのまま調停対応に移行できるため、スムーズかつ一貫性のある対応が可能です。

最初から弁護士を入れておけば、調停になっても「準備不足」や「話がかみ合わない」といったことが起きにくくなります。

よくある誤解

うちは仲がいいから大丈夫

相続をきっかけに関係が悪化するケースが圧倒的に多いです。

感情が絡む場面だからこそ、専門家のフォローが重要です。

行政書士に協議書だけ頼めばいい

行政書士は遺産分割協議の「書類作成」は可能ですが、法律相談や代理交渉はできません。

対立がある場合や調整が必要な場合は、弁護士でなければ対応できません。

弁護士は高いし敷居が高い

最近は相続に特化した弁護士が増えており、初回相談無料の事務所も多いです。

早めに相談すれば、長引くトラブルでかかる費用も抑えられます。

まとめ

遺産分割協議は、相続手続きのなかでもトラブルが起こりやすい場面です。

そして一度こじれると、家族の関係に大きな傷を残しかねません。

弁護士に依頼すれば、

  • 感情的な対立を回避できる
  • 法律に基づく正確な分割ができる
  • 協議書の不備によるトラブルを防げる
  • 万が一、調停や訴訟になっても一貫した対応ができる

という大きな安心を得ることができます。

できれば穏便に終わらせたい

そう思うからこそ、最初から弁護士をパートナーに選ぶことが、もっとも円満な解決への近道になるのです。

Blog

相続お役立ち情報

PAGE TOP