朝摘みトマトと、6月の陽ざしと。

朝の光がやわらかく差し込むころ、豊田の農家さんから連絡が入った。
「今日のトマト、いいよ。朝摘みで送りましょうか?」

届いたトマトは、小ぶりで張りのある皮。手に持つと、ほんのり温かさが残っていた。
まるで畑の空気をまとっているようで、それだけでひと皿の構想が浮かぶ。

Le Terroirでは、トマトは冷やしすぎないように注意している。冷蔵庫のキンとした冷気にさらすと、せっかくの香りや甘さが閉じ込められてしまうからだ。常温に戻し、皮をむき、軽くマリネする。ほんの少しの白ワインビネガーと塩、そして手摘みのバジルだけ。素材に嘘がないときほど、料理人は引き算をしなければならない。

この初夏に合わせたのは、愛知産の水牛モッツァレラと合わせたサラダ。
皿の中央にそっと盛り、まわりに冷たいトマトのジュを流す。

お客様のテーブルに運ぶとき、いつもより少しゆっくり歩くようにしている。
この初夏のひかりごと、感じてもらえるように。

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