
相続の手続きで最も揉めやすい場面の一つが「遺産分割協議」です。
誰が何をどれだけ受け取るのか。金銭的な問題に直結するため、兄弟姉妹の関係に亀裂が入ることも珍しくありません。
しかし、その多くは**「制度の正しい理解不足」や「事前準備の不十分さ」**が原因です。
本記事では、遺産分割協議でよくある誤解と、その回避方法について解説します。
遺言書があればすべてスムーズに進む
「父が遺言書を残してくれたから安心」と思っていたら、実際には遺産分割協議が必要だった――これはよくある誤解です。
たとえば、遺言書に不動産の名義変更だけが記されていて、預貯金や株式が未記載の場合、それらの財産については相続人全員で話し合う必要があります。
また、自筆証書遺言の場合は「家庭裁判所での検認手続き」が必要であり、遺言の内容がすぐに実行できるわけではありません。
形式不備によって無効になるケースもあるため、遺言書がある=万全というわけではないのです。
法定相続分どおりに分ければ文句は出ない
相続人の間で「とりあえず法定相続分どおりに分ければ問題ないだろう」と思い込んでしまうケースがあります。
しかし、実際には「介護や扶養に関わった度合い」や「生前贈与の有無」など、感情的な背景が絡むことが多く、法定相続分だけでは納得できない人も出てきます。
また、不動産など均等に分けづらい財産が中心の場合、「誰が取得するのか」「代償金はどうするか」などで対立することも。
このような場面では、法律のルールに加えて、現実的な妥協点を見出す調整力が求められます。
親族同士だからトラブルにはならない
「兄弟仲は良いし、揉めることはないだろう」と思っていた家庭ほど、相続で険悪になることがあります。
財産が関わることで、それまで表面化していなかった不満や誤解が一気に噴き出すのです。
特に、誰か一人が主導して手続きを進めた場合、「勝手に話を進められた」と感じた他の相続人が反発し、話がこじれる要因にもなります。
親族関係であっても、第三者である専門家を間に入れることで冷静な話し合いが可能になります。
トラブルを防ぐためにできること
相続トラブルを未然に防ぐためには、以下のような対応が有効です。
- 財産の全体像を把握し、早期に情報共有すること
- 感情論ではなく法律に基づいた話し合いを行うこと
- 疑念や不安がある場合は、弁護士など専門家に相談すること
特に、中立的立場の専門家が間に入るだけで、協議の空気が大きく変わることもあります。
「揉めてから相談」ではなく、「揉めないために相談」という意識が重要です。
まとめ:早めの相談が、安心への第一歩
相続に関する問題は、感情と法的手続きが交錯する繊細な領域です。
誤解を放置したまま話を進めると、取り返しのつかない対立を招くことにもなりかねません。
めぐる法律事務所では、相続に特化した弁護士が、初回相談から丁寧に状況をヒアリングし、
あなたとご家族にとって最も納得できる解決策をご提案します。
「少しでも不安がある」「もめたくない」という段階から、ぜひお気軽にご相談ください。