新しい春を迎える前に
ひと区切りと、新たな始まり
3月は、Grace Garden Balletにとって特別な季節です。
年度の締めくくりでもあり、子どもたちの成長をひとつの区切りとして見守ると同時に、新しい学びへの準備を始める月でもあります。
レッスン室の窓から差し込むやわらかな光に包まれながら、一人ひとりの姿勢や表情を思い返すと、1年間という時間の重みを深く感じます。
小さな子どもたちが最初は緊張気味にバーにつかまっていた姿が、いまでは音楽に合わせて自然に体を動かせるようになり、年長の生徒は仲間をリードする姿を見せるようになりました。そうした変化の積み重ねが、私にとって何よりの喜びです。
バレエは「動き」以上の学び
私が大切にしているのは、ただ美しく踊れるようになることだけではありません。
英国式バレエの核にある「礼儀・協調・美意識」は、人生を歩むうえでの基盤になるものです。
バーの前に立つ姿勢ひとつにも、その人の心のあり方が表れます。仲間と呼吸を合わせるパ・ド・ドゥには、思いやりと信頼が欠かせません。
子どもたちが舞台やレッスンを通して学ぶのは、体の使い方だけではなく、「人との関わり方」や「自分を律すること」でもあると感じています。春を迎える今、そのことを改めて強く実感しています。
次年度への展望
4月からは、新しい仲間を迎えることになります。初めて教室に来る子どもたちは、不安もありながら、きっと大きな期待も抱えていることでしょう。先に学んできた子どもたちが、その不安をやわらげ、自然と手を差し伸べられる場であってほしいと願っています。
また、今年度は外部から特別講師をお招きするワークショップを予定しています。
本場の空気を少しでも感じ、文化や哲学に触れることは、技術的な成長を超えて、子どもたちの感性を豊かにするはずです。
最後に
春は別れと出会いの季節。ひとつの章を終え、新しい章が始まります。
私自身も指導者として、そして一人の学び手として、子どもたちと共に歩んでいけることを心から楽しみにしています。
Grace Garden Balletが、子どもたちにとって「技術を学ぶ場」であると同時に、「心を育む場」であり続けられるように──その想いを胸に、新しい年度を迎えたいと思います。
Grace Garden Ballet 白石瑠璃